【三日目】令和2年 春蘭お花見大遠征

三日目の記録を書いていきます。この日はタッケさんが散策に合流してくださる日です。タッケさんは現在はサービス終了した某ブログで山の素晴らしい春蘭をたくさん紹介してくださっていた方です。僕は初心者の頃、齧りつくようにタッケさんのブログを見てやる気をいただいていたものです。

昨年多くの方がインスタグラムに移動されて来ました。その際にタッケさんがお声がけくださり、僕のブログを見てくださっていたとの事でとても驚きました。その後メールの交換をさせていただき、今回ご一緒してくださる事になったのでした!

前面無点の舌。喉元には普通に点がある

タッケさんとはお昼頃に合流予定になったため、午前中は前日にヤマが外れた地域で再び散策することにしました。時刻はまだ午前7時前。sharaさんがほんの一角に実生から花付き株までがかたまって自生しているのを発見します。冒頭の前面無点舌の花はそこにいました。ここでは花の撮影をして移動です。

同じ地域内で他のポイントも歩きましたが成果はなく、やはり・・この地域は駄目なのだろうか? 一番力を入れて候補地を探したのに・・と、昨日に引き続き肩を落とすことになりました。

それでは、いよいよタッケさんに会いに行きましょう! 合流地点は先日行けなかった色花の坪です。

タッケさんとご友人のSさんに初めましてのご挨拶をさせていただきました。お二人とも山歩きの大先輩ですが、優しくて気さくな方々で皆さんとすぐに打ち解けて山に入りました。もうお昼を回ってしまっていたのでさっそくタッケさん達を色花の坪にご案内しました。

sharaさんがすぐに色素を持った個体をいくつか発見しました。発色は微微たるものですが間違いなくここには色花の因子があると確信する事が出来ました。これだけでも僕とsharaさんとしては感動でした。

そして・・

比較的この坪のなかでは発色が明瞭な花が一株だけあったのです。

朱金系の春蘭

山の奇跡に今年も出逢えました・・・!

朱金(橙色)を滲ませる花
山の色花の姿

これ以上に虫喰いが進んでいたら気付くことが出来ませんでした。山の神さまありがとうございます。僕とsharaさんはすでに同じ系統を発色させようと試行錯誤しているため、この朱金はタッケさんにお願いしました。

今回、遠征にはもう一人参加予定でした。そのひとは僕が演劇に携わっていた頃からお世話になっている姉のような存在で、その姉さんがこの花の写真をみて「なんか…親近感」というので、仮名「あきよ」の札をタッケさんに刺してもらう事になりました(笑)

しゃもじのような花弁の花

Sさんが弁先まん丸のしゃもじのような花を見つけ、切り花を持って来てくれました。百戦錬磨の大先輩Sさんは花を僕に渡すとすぐに実生を探して山の奥に消えて行ってしまいました。ノロノロ亀散策の僕とは探すスピードが違います(笑)

タッケさんも実生の散策に切り替えて移動されました。sharaさんは昨年この辺りで日焼けオレンジになっていた花が気になり、少しだけ離れた場所に確認しに行きました。

そして・・

誰もいなくなったとき・・・

薄暗い山林の奥の方に陽だまりが見えました。

離れていても、ぼんやりと白く浮かび上がる姿が目に飛び込んで来たのです。

こんなことがあっていいのか・・・

皆さんの名前を呼ぶものの、だいぶ離れてしまい声が届きません。慌ててsharaさんに電話します。すぐに戻って来てくれたsharaさんと慎重に観察しました。

一株だけではなかった・・

「あんた、どうかしてるんじゃないの?」

sharaさんが呆れたように笑って言いました。

素心発見の動画

自分でも、自分がどうかしてると思いました。

春蘭素心その一
春蘭素心その一の横顔
春蘭素心その一の後ろ姿

素心は一株だけではありませんでした。花形が少し異なるため兄弟株と思われますが、地中で芋が繋がっていた事も考えられます。とにかく獣による食害が激しくてまともな葉が一枚もありませんでした。そのためか長い間、花を付けていなかったようなのです。

春蘭素心その二。
春蘭素心その二。正面から

ここは昨年も歩いた場所です。この素心は食害による損傷が激しく、今年出逢えていなかったら・・もう逢うことはなかったかもしれません。

13年間、僕は素心に出逢えませんでした。この二日間は13年分の素心がいっぺんに現れてくれたような気持ちでした。山の神さま、本当にありがとうございます。そしてsharaさん本当にありがとうございます!!

気温が高くなってきて少し歩くと汗ばむくらいでした。コンビニでお昼ご飯を買って移動します。次に候補地にしていたポイントは残念ながら藪だらけでした。ここから近くにSさんが知っているポイントがあるとの事で案内していただきました。そこにはたくさんの花が咲いていて夢中で山を歩き回りました。

僕とsharaさんは数こそ確認出来たもののこれといった発見がなく、汗だくで車に戻りました。ちょうどタッケさんも戻っていたところで、Sさんが戻るのを待っているとタッケさんが袋からおもむろに蘭を取り出しました・・

白い花が揺れていました・・!

タッケさん発見の白い散り斑花

「えー! いつ見つけたんですか(笑)」

思わず笑ってしまいました。僕のように興奮して誰かに報告するわけでもなく、あまりにもさりげなく散り斑花を見つけるタッケさんに僕もsharaさんも驚きを隠せませんでした。白い花は散り斑花でした。先細りする舌が散り斑花らしい特徴ですね。フラッシュで黄色っぽく写っていますが実際にはもっと白いです。

春蘭の白散り斑花

僕はタッケさんに「今度から見つけたら呼んでください!」と注意させていただきました(笑) 褒め言葉ですので! すみません(笑)

このあと、Sさんが行きたいところがあるとの事で移動開始です! この移動は遠征先からの遠征となり・・・目的地まで3時間以上の道のりでした(笑) Sさんは昔歩いたところを我々に案内したかったようなのです。色花が出た山。羅紗が出た山・・。里山が荒れ放題になった今の時代では考えられないような、夢の軌跡をたくさん巡らせていただきました。

16時20分頃、目的地に到着しました。もう日暮れ間際のため、本日最後の散策地になります。

皆さん各々ばらけて歩きました。僕はタッケさんがどんな風に散策するのか後ろからコソコソ見学させてもらっていました(笑)

咲き始めなのか抱えの良い小花
これで弁幅があったら・・

時刻は間もなく17時・・・。咲き始めなのか抱えの良い小花があり、これの兄弟株はないだろうかと枝を掴み、重たい足を上げます。笑い話ですが、僕はこのときお腹が空いてエネルギー切れでした。こうなると僕は貧血のように頭クラクラになってしまい、冷や汗をかいてしまうのです。糖尿病ではないです。ないはず・・。

そして這いつくばって段差を乗り越えたところで可愛い短円弁の小花が笑っていたのです。

短円弁の小花
横から見てもずんぐりして捧心が短い
横に広くて短い舌が可愛らしい
同株の花。こちらが本芸かもしれない
三輪咲いていて花形は固定しているようだ

楽しい時間はあっという間に過ぎて宿に戻る事になりました。タッケさんとSさんも一泊されるので、スーパーで買い出しをして夜はタッケさんの部屋に集まりました。世間では新型ウィルスの影響で集会など自粛ムードが広がりつつあったので、ささやかな宴会となりました。

山歩きの大先輩タッケさんとSさんから貴重なお話しを笑いを交えてお腹いっぱい聞かせていただきました。今の時代では考えられない夢のような体験談の数々。まだ世に出ていない山の春蘭の写真を見せていただきました。最終日を前にして疲労困ぱいではありましたが、新しい燃料を投下された気分でやる気が満ちあふれていく夜になりました。

タッケさん、Sさん、楽しい時間を本当にありがとうございました!!!

ご笑蘭ありがとうございました😊次の更新をお待ちください。

【三日目】令和2年 春蘭お花見大遠征” への4件のフィードバック

  1. 初めまして

    いつも楽しみに拝見しています。
    土素人なので、勉強になります。以前に朱金花を採取された時は自分もドキドキしました。幾度となく散策にはいきますが、当たりません。
    ですが、希望がわいてきます。
    これからも、楽しみに拝見させていただきます。山では色々と気をつけて下さい。
    また、今回はタッケさんも同行したとしり、凄いつながりだと思いました。

    1. 素人蘭さん
      はじめまして。見てくださってありがとうございます。
      山を歩かれてるのですね。何も見つからないのを繰り返して普通の感覚が養われると、何かある場所で異変に気づきやすいと思います。日常生活も含めて変異種までの道のりは全部繋がっていると思っていますのでぜひ懲りずに歩かれてくださいね。
      機会がありましたら我々の山歩きにもご参加ください。
      よろしくお願いします!

  2. 心強い言葉です。
    こりずに頑張ってみます。

    これからも楽しみにブログ拝見させて
    いただきます。😁

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