【二日目】令和2年 春蘭お花見大遠征

前回の投稿を見ていただきありがとうございます。二日目の記録です。

植生のイメージ画像

初日の疲れがあったにもかかわらず、期待と興奮でよく眠れませんでした。前日の雨は深夜に激しく降って朝には止んでくれました。コンビニでコーヒーとサンドイッチを買って意気揚々と出発です!

しかし朝一のポイントは期待外れでした・・。この周辺は一番の期待を寄せていたため、こんなはずじゃなかった・・と、朝からどんよりとした気分に・・。

山道のイメージ画像

気持ちを切り替えて・・ちょっと離れているが、昨年発見した色花の坪を再訪しようと大きく移動する事に。しかし距離があるため、途中、sharaさんが入ってみようか?という山道に寄り道。そこはピンポイントで候補地のひとつでした・・

しかし僕はあまり期待していなくて今回は素通りするつもりだったのです・・・。地図とにらめっこをたくさんしたところで、行ってみないと本当のことは分からないものです。このポイントはまさにそう実感させてくれる良い環境でした。僕は愚かにもここを今回除外しようとしていたのです・・。

sharaさんと別れて散策することになり、ちょうど別れ道の辺りに副弁にイクタを現す春蘭がありました。とても地味でしたが、作花にも少なからず芸が出るだろうと思える花です。

蝶咲きの春蘭
地味ながら両副弁にイクタが出ていた
蝶咲きは固定しているようだ

二人ばらけて散策するも蝶咲き以外の発見はなく、sharaさんが下の方にたくさんあるというので呼ばれて斜面を降りました。

ここで奇跡が待っていてくれました。

13年ぶりの再会でした。

旅の目標でもあった春蘭の素心(アルビノ)がsharaさんと僕の目の前にまるで精霊のように顕現したのです。

この距離からは準素心なら万歳だと思った
一瞬、舌点があるように見えた
舌点に見えたのは傷だった
青筋が個性的な青サラサというような素心
前日の雨露が澄んだ花弁を伝う
※音声はオフにしてあります
春蘭素心の舌のアップ

こんなに撮影しておいても、もっと撮影しておけばよかったなと後になると思います。ちょうど山の合間を縫って朝陽が差し込みました。照らし出された精霊のような素心を前にしてsharaさんと僕は神秘的な瞬間を共有したのでした。

この場所での散策がひと段落し、次の目的地に移動する前に車の側にこんな花が・・

霜焼けで萎れた春蘭

sharaさんが霜焼け花だと教えてくれたのですが、僕は渋柿色になる霜焼け花しか知らないので夢中で撮影してしまいました。触れてみると花弁は障子紙のように干からびていて、白銀のような光沢がありました。いつか本当にこんな芸を持つ花を見つけたいものです。

我々はここからまた色花の坪に向けて移動しました。途中立ち寄った平地林は期待はずれで、そのまま荒れ山を回るものの収穫はありませんでした。以前ならタイムロスと思っていましたが無駄な事などありません。すべて勉強になります。

次に立ち寄ったのは色花の坪に近いポイントでした。そこは春蘭の楽園でした・・。たくさん撮影しましたが、このブログを編集中にメモリがパンクしてしまうため、少ししか紹介できません。

少し葉変わり様の葉に咲いていた花

今回の旅では迷うものは極力避ける方針です。そんな迷う色味の花がありました。

僅かに緑以外の色味を感じさせる花
僅かに色味を感じさせる花のアップ

何本も花を付けていてもアップで写した花が精一杯の発色のようでした。可能性としては葉性からくる黄花か、とてもとても薄い朱金花かもしれません。置き場所がなければ気になるものを何でもかんでも管理する、というわけにはいきません。獣による食害の少ない山ではこういった微妙な個体が種を飛ばしていつかまた楽しませてくれると願っています。

底紅が春らしさを演出
可愛らしい短円弁の青花
短円弁の青花

この短円弁の花はそこそこの株立ちでした。ここで受粉して種を飛ばし、可愛い子孫を増やしてくれますようにと願って先へ進みます。

そろそろ夕陽で見辛くなってきた…

この楽園では数を多く観察出来たものの、夢中になってすっかり夕暮れ時に。近くまで来ているのだが、この日は色花の坪を再訪するのは難しそうだ。sharaさんと話し、今日は宿に戻ろうという事になった。

車に戻ると近くの藪にも蘭が見え隠れしていて、sharaさんが様子を見に行きました。僕は疲れがピークですでに宿で休む気で満々でした。素心を見つけていたからやる気がないというわけではありません。僕よりずっと年上のsharaさんのほうが、僕より体力がある!という事です。sharaさんが呼んでいるので駆け付けると、何とも言えない色合いの花が咲いていました。

春蘭には花弁に染みが多く入る個性があって、それがモヤシ咲きすると染みによる滲みで茶色のような濁った朱金のような複雑な色合いになります。ちょうど夕陽が山を照らしていたため、余計に橙色に見えて悩まされました。ですが本当の色花とは違って鈍い色です。写真は冷静に真実を捉えていますね。迷ったら次へ進むです。

宿に帰る事はいったん棚に上げ、sharaさんはまだ陽があるうちにと未開の範囲へ消えて行ってしまいました。僕はといえばもうクタクタで歩きやすいところをブラブラすることにしました。

しばらくするとsharaさんがこちらに近づきながら藪でガサゴソしているのが見えたので、僕は合流しそうな場所でへたり込んで手元の並花をいじくっていました。その株は大株とまではいかないけど、花を3、4輪咲かせる株立ちになっていて、その株の端のほうにやけに小さく、花軸が青白く見える花が目に入りました。

美しい青軸が目に止まった

「まさか」そのまさかでした。

紛れもなく青軸でした。その小花は喉をほんのり染めていたのです。そしてそれは舌点ではありません。素心だったのです。

日に二度もこんな事があっていいのだろうか。僕は尻を付いてへばっていただけなのに。嬉しさよりも複雑な気持ちが頭をかき乱します。

乙女素心の動画(音声ありません)

動画を撮り終えるとsharaさんがちょうど合流しました。このとき僕はデジャヴのような感じを覚えたのです。本来なら僕は宿に帰るつもりでいたのでここまで歩いて来なかったのですが、sharaさんがもう少しと進むので付いて来たのです。朝、最初の素心を見つけられたのもsharaさんに呼ばれたからでした。先日の紺覆輪にしても、僕は「そこに見えてるのだけ確認します!」と、土手の上に見えている大株を間近で確認してすぐ車に戻るつもりが、sharaさんが上がって来てさらに奥へと進んだから発見に至ったのです。

小花で細弁のため、軸が青くなかったら気付かなかったかもしれない
喉元を橙色に染める春蘭の乙女素心だった

この素心との出逢いで僕ひとりでは叶わない不思議な縁というものを強く感じるようになりました。振り返れば過去にも、アオイカン師匠と初めて朱金を発見したときもそうでした。今回の旅ではsharaさんとの縁がいくつもの発見に繋がっていくことになります。

運の前に縁。そう強く感じたのでした。

まだ視認性を保てる明るさのなか、sharaさんがジャングルだよこれは、みたいな事を言うので後を追うとそこはまさに春蘭の楽園でした。sharaさんが早速、かなりこんがらがった奇花を発見します。

他の二輪は普通咲きしていた
普通咲きした二輪と同じ株から咲いていたため、一過性のようだった

一過性のようだったことと、僕もsharaさんも置き場がないので先へ進みます。sharaさんが開けたところに案内してくれて、そこで出逢ったのがイタズラ小僧のような可愛い青花でした。

三輪咲いていて半巻き舌は固定しているようだ
環礁のような舌点。インスタに投稿した際、九州のがんばるくいなさんが例えてくれました
硬めの立ち葉も面白い

この日は山歩き人生で最も濃密な一日になったと思います。

春蘭の楽園

sharaさんいわく、この山だけで一生分の花を見れたんじゃないか? 本当にその通りでした。予定通りとはいきませんでしたがお腹いっぱいになって宿に戻ることが出来ました。

さて、翌3日目は山歩き名人タッケさんとご一緒する約束なのです。タッケさんとは昨年の9月中旬頃から少しずつ打ち合わせをさせていただき、いよいよ実現となります!

ご笑蘭ありがとうございます。

次の更新をお待ちください!

【二日目】令和2年 春蘭お花見大遠征” への2件のフィードバック

  1. いよいよ2日目ですね、あの濃き遠征の日々が蘇ってきました。
    ところで冒頭の素心、爽やかな花にも増して見れば見るほど黄色っぽい!特に軸の節の色なんか見ると期待しちゃうよ。乙女素心は頬の色合いやちっさな花は乙女そのもの、可愛かったね~。

    1. 写真が多過ぎて何枚もボツになりました。
      コメントありがとうございます!
      冒頭の素心、舌は黄色く染まっていましたね。。でも、どうでしょうね?? 本性の黄花なら黄色く押し上げて来ますからね😅
      乙女素心は可愛かったですね!小花は継続すると思うんですよね!

コメントを残す