【その6】令和3年(2021年) 春蘭散策まとめ

いよいよこの年の春の遠征、最後の2日間の始まりです。宿に前乗りして翌朝タッケさんが車で拾ってくれました。タッケさんと一年ぶりの再会です。

山歩きする方は毎回同じ場所をまわる方が多いです。何処そこで赤花が採れたとか縞が出たとか過去に実績がある山は他にも兄弟株や見逃していた発見の可能性は確かにあります。しかしそういった場所は年中誰かしらが訪れるので僕やタッケさんはなるべくそうではない新しい場所を歩きたいと考えています。

この日に撮影した普通の春蘭

僕が行きたいところでいいよとタッケさんが言ってくださるのでご好意に甘えて気になっていた地図の印を数カ所まわってもらったのですが……

どこも蘭そのものが少なすぎて穴場狙いが完全に裏目に出てしまいました。これで午前中は時間を使い切ってしまいタッケさんに申し訳ない気持ちでいっぱいでした。

あれ……

これまで地図で狙いを付けた場所で期待を大きく外すようなことは少なかったのですがこの日は午前中の間にすでに二箇所続けて山を外してしまい今まで培って来た自信を失くしてしまいそうでした。

午後はタッケさんが気を使ってくださって更に遠方を目指すことになりました。

昼食をとったり移動で約2時間ほどかかってたどり着いた山はタッケさんが昔、何度か歩いた事がある場所でした。

蘭の数があまりにも多くてゆっくり写真を撮ってる暇がありませんでした。優しい色合いの更紗花ともすぐお別れです。

狭い山道路をゆっくり走ってもらいながら、車窓から大雑把に蘭を探します。

気になったら車停めるからね

とタッケさん。

時刻はもう14時50分を過ぎたころ…

車の窓越しから蘭を見逃すまいと必死に景色を目で追います。

一瞬、濁った抹茶色のような花が視界を通り過ぎます。

…これくらいのことで車停めてもらうのも気が引けるのですが思い切ってタッケさんにお願いしました。

「タッケさんすみません、変な色の花があったので見ていいですか?」

「いいよいいよ!そういうの全然言って」

「たぶんモヤシ花とは違うと思うんです」

「これはちゃんと色出るよ。よかったよかった」

せっかく東京から来て何も見つからないで帰すことにはしたくないとタッケさんは喜んでくれました。タッケさんありがとう!

光源の向きを変えて撮影しました。近づくとよく色が見えますが少し離れると夕刻近いため茜色の陽射しや落ち葉の色が合わさり花は目立ちません。

紛れもなく後冴えの朱金でした。2017年に初めて出逢った朱金の発色と同じなので作をしても色出しに期待ができると感じました。

株は七年生前後で初花のようです。大きな花でした。

この日は自分の勘が冴えず、何をやっても裏目に出そうな気持ちだったのにまさかこんなことが待っているなど思いもしませんでした。

たまたま僕が助手席に乗っていたから目に入っただけなのでタッケさんに分けようとしましたがタッケさんは僕にそのまま作りなさいと薦めてくれました。

この朱金はタッケさんと一緒に発見した花です。一生忘れることはないでしょう。

宿に戻って近くの飲み屋さんでタッケさんと乾杯しました。僕はお酒は嫌いではありませんがよく頭が痛くなるのでそこまでは飲みません。けど、この日タッケさんに教えてもらった日本酒は美味しすぎて夢中で飲みました。さすが日本酒です。頭痛はありませんでした。

ついに翌日は遠征最終日です。

その7に続きます。

ご笑蘭ありがとうございました。

山の神さま山を歩かせていただきましてありがとうございます。

【その6】令和3年(2021年) 春蘭散策まとめ” への2件のフィードバック

  1. 朱金。山に行かないと出会えないですね。今は蘭も少なくなって行ってもまず出会えないでしょうから貴重なものです。おめでとうございます。

    1. ゴリョウさん こちらにもコメントありがとうございます!この朱金は驚きました。車の窓からは濁った抹茶色に見えました。増やしてゴリョウさんにも育ててほしいです!

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